「今日は左でも良いですか? キャリア3か月です」
夏場以来、久し振りにテニスコートでお会いした方が、申し訳なさげに言葉をかけてきた。
事情をお聞きすると、利き手である右肘を痛めて完治するまで1年程度掛かると医師に言われ
ならば、その間は左でラケットを握ろうと決意したとの事。
本来は草トーナメントではA級を活躍の場にし、JOPベテランにも参戦されるレベルの持ち主。
そんなお方のサウスポーサーブが、右利きが左手でボールを投げるようなぎこちないフォーム。
もちろん、球筋も穏やかな山ボール。
ここは同情するところでしょうが
正直者の私は「当面はカモですね」と大笑い。
※時に人は、私の事を薄情者と呼びますが、情よりも笑いを優先するのが信条。
これまでの彼は、コート内では真剣そのものの常に真顔と言うか自分に厳しいタイプ。
一つ一つのプレイに対して、時には自己反省し、時にはフォームの確認をし、時には相手を称える寡黙なタイプ。
対戦するにあたり、練習相手としても満足頂けるようにと気が抜けない。
そんな彼が、テニスコートで満面の笑みを浮かべてテニスを楽しんでおられる。
自分の不甲斐なさを自虐で笑い、私の小馬鹿にしたヤジにも笑いで返してくる。
右利きの彼よりも、左利きの彼の方が愛嬌があって微笑ましく感じる。
と言うか、本当にテニスが出来る喜びをかみしめているかの様。
当面は、私が主催するオフ会をリハビリの場として活用するらしい。
そう、彼にとっても私をカモと捉えてるのよ。
お互いカモ同士がネギしか持ってこないって・・・。
来年から、右手が使えない救済処置として、初級クラスの試合に参戦する彼が、どう成長していくのかが楽しみです。
珍プレイを大いに笑ってやりたいと思う。
追記
試合に出たくても出れない彼の現状を憂い、新日本スポーツ連盟兵庫テニス協議会に、救済処置として本来出れないランク下の試合に、左手でのエントリー許可を申請し承認を得た。
これを機に、同じような状況にある方にも救済処置を設ける事になった。
えっ、そうです。自慢です。